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介護サービス担当者のためのストーマケア講習会

「介護サービス担当者のためのストーマケア講習会」の実施にあたって

  昨年、厚労省から合併症がなくストーマが安定している場合で専門的な管理が必要とされない場合にはストーマ装具の交換は医療行為にはあたらないとの判断がされました。同時に、厚労省はストーマ装具交換には教育を受けたものが望ましいとの見解を示しています。
 医療者対象の講習会は、各地域の講習会で行っていますが、医療者以外、特に介護サービス担当者を対象とするので、地域をより絞った各県・市町村での開催が望まれることが考えられます。また開催については、各地域の事情により内容やその質に差が生じる可能性があります。そこで、小さい単位での講習会でも一定の教育レベルが維持されるように、当学会では、「医療者以外の者が、基本的な装具交換ができて正常と異常を認識できる」ことを目標とする3時間程度の講習会の学習目標を作成しました。
 よって、講習会をご担当される方に「介護サービス担当者のためのストーマケア講習会(以後、講習会と略す)」について、福祉関連の各団体からの要請による協力および学会関連医療機関による自主的な開催の場合には、以下の点にご留意の上、当学習目標をご利用くださいますようにお願いいたします。


  1. 講習会の実施にあたっては、学会認定の地域ストーマリハビリテーション講習会(以下 地域講習会とする)の関係者または日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会(以後、本学会と略す)の学会員が関与することを推奨します。
  2. 講習会を開催予定あるいは計画段階にある団体・個人は、あらかじめ地域講習会事務局(http://www.jsscr.jp/k-list.htmlにリストがあります)にご連絡ください。
  3. 当学会では、講習会のカリキュラムとして「介護サービス担当者のためのストーマケア講習会用の学習目標」が使用できるように準備してあります。
  4. このカリキュラムに基づいた講習会の参加者には受講証を発行できます。受講証の書式は本学会の公式ウエッブサイトの「会員のページ」に掲載されますので、ご参照の上主催団体による登録番号を入力して作成をお願いします。
  5. 講習会の受講状況の把握を目的に、参加状況のご報告をお願いします。参加者名簿(氏名・所属・職種の免許書番号)を作成し、原本は主催団体で保管し、開催日時・場所、人数と職種を学会事務局(E-mail:jsscr@asas-mail.jp)にご送付いただきますようにお願いします。
  6. 講習会の実施にあたっては本学会から直接的に物的・人的支援は行えないことにご留意ください。
  7. 講習会の参加者への参加費の徴収については、開催者で決めて下さい。
  8. なお講習会開催の回数の増加に伴い、地域講習会に過大の負担がかかるような場合には、地域ストーマリハビリテーション研究会とも相談して対応をお願いします。

介護サービス担当者のためのストーマケア講習会の学習目標について

日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 理事会
 平成23年7月5日に発せられた厚生労働省からの通達により、専門的な管理を必要としない場合ではストーマ装具の交換は原則として医行為には該当しないことが明文化された。それにより医師、看護師以外の人(介護関係者、ヘルパーやストーマ保有者のご家族などを指すと思われるが、ここでは介護サービス担当者と表現する)がストーマ装具の交換を行ってよいことが公的に認められた。また、実施に当たっては一定の研修や訓練が行われることが望ましいとされており、今後、介護サービス担当者からの研修や訓練の要望が本学会にも寄せられることが想定される。このような状況を考慮し、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会理事会は、介護サービス担当者のためのストーマケア講習会用学習目標を作成した。利用する場合には日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会の許可は必要としない。作成に当たっては以下の点に留意したので、研修や訓練実施にあたっても配慮を願いたい。
  1. 医学看護学に精通していない方を対象として作成した。
  2. 基本的かつ不可欠な事項のみを取り上げるようにした。
  3. カリキュラムの方略の案も併せて提示したが、研修時間は全体で3時間程度で目的を達するように作成した。
  4. 講習会で用いるテキスト、用語集、動画、画像などは研修や訓練の実施機関または個人で準備していただきたい。
平成24年1月吉日

介護サービス担当者のためのストーマケア講習会用 学習目標 GIO・SBOs

日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 理事会
A:講習会で必ず理解し、身につけていただきたい項目
B:講習会で時間や余裕があれば解説していただきたい項目

講習会の目標:『ストーマ保有者の装具交換が適切にできるようになるために、ストーマ及びストーマ周囲の皮膚とストーマ装具について理解し、ストーマ保有者の心理に配慮しながらスキンケアと装具交換ができ、さらにストーマ及びストーマ周囲の皮膚の異常な状態を指摘できることを目標とする』

GIO 1:ストーマに正しく対峙できるようになるために、スト-マとそのケアに関する基礎知識を正しく理解する。A
SBOs:
1-1.スト-マとはなにかを説明できる。A
1-2.スト-マケアにおけるキ-パ-ソンの役割を説明できる。B
1-3.スト-マ造設に伴う患者の心理的状態の変化の概略を説明できる。B
1-4.消化管スト-マに関連した消化管の構造の概略を説明できる。A
1-5.消化管スト-マの種類*1,2,3を列挙できる。A
 *1期間による分類(一時的スト-マ、永久的スト-マ)
 *2スト-マ部位(造設臓器)による分類(結腸スト-マ、小腸スト-マ)
 *3形態による分類(単孔式スト-マ、双孔式スト-マ)
1-6.消化管スト-マの構造の概略について説明できる。A
1-7.便が皮膚に付着した場合の影響の概略について説明できる。A
1-8.消化管スト-マが造設される場合の理由*4を列挙できる。B
 *4肛門を切除する場合、便を肛門側に流したくない場合
1-9.尿路スト-マに関連した泌尿器の構造と機能について概略を説明できる。A
1-10.尿が皮膚に付着した場合の影響について述べることができる。A
1-11.尿路スト-マが造設される場合の理由*5を列挙できる。B
 *5下部尿路臓器を切除する場合 下部尿路に尿を流せない場合
1-12.尿路スト-マの種類*6を列挙できる。A
 *6腎瘻、尿管皮膚瘻、膀胱瘻、回腸導管、
1‐13.消化器および尿路ストーマの種類によるケア上の留意点の違いについて説明できる。

GIO 2:適切にストーマ装具を利用できるようになるために、皮膚とスト-マ用品の基本的構造と機能を理解する。A
SBOs:
2-1.スト-マに関連した皮膚の構造と機能について述べることができる。A
2-2.ストーマ装具の基本的な構造を述べることができる。A
2-3.皮膚保護剤の働きを述べることができる。A
2-4.代表的なスト-マ袋の特徴を述べることができる。A
2-5.各種スト-マ袋の使用上の留意点を述べることができる。A
2-6.ストーマ用品の入手方法と保管方法について説明できる。A

GIO 3:ストーマおよびストーマ周囲皮膚を健常に保つために、スキンケアとスト-マ用品取り扱いの基本的技能を修得する。A
SBOs:
3-1.スト-マ用品の交換に必要な物品を準備できる。A
3-2.スト-マ装具を適切にはずすことができる。A
3-3.スト-マ及びスト-マ周囲皮膚の観察のポイントを列挙できる。A
3-4.ストーマ周囲の予防的スキンケアを実施することができる。A
3-5.皮膚保護剤の使用法を説明できる。A
3-6.個々のスト-マに合わせてスト-マ袋の面板スト-マ孔を切ることができる。A
3-7.スト-マ装具を適切に装着できる。A
3-8.必要に応じて補助用品*7を使用できる。A
 *7固定具、脱臭剤、脚用収尿器、袋カバ-、排出口閉鎖具、尿排出口閉鎖具
3-9.尿路スト-マのカテ-テルの取り扱いについて説明できる。A
3-10.使用したストーマ用品と排泄物を適切に廃棄することができる。A

GIO 4:ストーマと周囲皮膚の異常を指摘できるようになるために、スト-マの合併症と皮膚障害の概略を理解する。A
SBOs:
4-1.絆創膏皮膚炎について述べることができる。A
4-2.スト-マ周囲皮膚炎の原因を列挙することができる。A
4-3.消化管スト-マの皮膚障害以外の合併症*8を指摘できる。A
 *8狭窄、陥没、膿瘍、腸脱出、スト-マ傍ヘルニア,出血
4-4.尿路スト-マの(皮膚障害以外の)合併症*9を指摘できる。A
 *9尿の量の異常、尿の色や臭いの異常、出血
4-5.術後に排尿障害や性機能障害が起こりうることを説明できる。A
4-6.ストーマと周囲皮膚の異常を発見した時に通報・相談すべき窓口との連携方法を説明できる。A

介護サービス担当者のためのストーマケア講習会用 プログラム案

時間 単位 該当SBOs 方法
午後1時~2時 ストーマってなに?
ストーマの基礎知識
GIO1
GIO2
講義
午後2時~2時10分 休憩ならびに演習の準備    
午後2時10分~3時10分 装具交換をやってみよう!
消化器単品装具 1回
尿路二品系装具 1回
GIO 3
SBO 2-2 2-3
動画+演習
午後3時10分~3時20分 休憩ならびに演習の後片付け    
午後3時20分~4時 これって異常じゃない?
医師や看護師に報告できるために
GIO 4
SBO 3-3
講義

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