
理事長 幸田圭史
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会(JSSCR)では、ストーマや排便・排尿障害など広く排泄をテーマとしており、ストーマの造設方法や適切な管理、排便・排尿障害の治療やケアなどについて医療者の知識と技量の向上を図ることで、障害をもつ患者様の福祉の向上につながるよう活動を続けております。
消化器および尿路ストーマの適切な造設方法については以前から大きなテーマとしています。すなわち体型の違いや腸管浮腫の有無、腹膜炎の存在など種々の条件下でも、管理のしやすいよいストーマを造設するのはベテランでもかなりの技術を要することであり、技量や手法をいかに均一化し次世代に伝えてゆくのか、このことは学会として取り組むべき問題です。またそのような条件下で造設されたストーマの、よりよい管理法と患者指導をどうするのか。これまでも広く議論されてきているテーマですが、実際には各施設、各医療者の裁量で個々に行われている場合が多く、集約化され広く認知された方法はなかなかありません。学会としては学会主催の講習会や教育委員会企画を通して知識や技能の広報に勤めるとともに、地方講習会との連絡を密にして知識の共有を図りたいと思います。
毎年行われる学術集会での会員発表とともに、できれば貴重な経験や知識は各医療者が論文として残してほしいと考えており、その受け皿として学会が機能するように努力したいと思います。そのために地方研究会との連絡を密にして、地方会での発表も学会雑誌に論文として積極的に掲載してもらうべく広報してまいります。また、せっかく学会雑誌に掲載された論文も、広く世間に周知され参考とされなければ価値が下がります。なるべく当学会雑誌で掲載された論文は、多くの医療者が参照できるように今後も体制作りを図ってゆきます。
学会としては、排便・排尿障害の管理も近年大きなテーマとして取り上げている部分で、今後も活動テーマとなります。いまだ本邦では広く認知された分野ではありませんが、近年では排便障害・排尿障害のガイドラインも発刊されており、欧米での活発な活動に近づきたいと思います。本学会としても当該分野で活動される先生方に議論の場を提供し、この障害をもつ人達のQOL向上に寄与したいと思います。
患者様の福祉の向上を考え、社会的に行動して行くことも本学会の大きな役割と認識しております。近年相次いで起こった大災害での経験から、行政および地方研究会での災害対策関係者との連携を密にし、万が一に災害が生じた際に遅滞無くオストメイトへの対応ができるよう、今後とも患者団体や用品協会とも協力して体制を構築してゆきたいと思います。
これからも学会員の先生方と相談しつつ本学会を通じて医療者が広く知識を得て議論できる場を提供したいと望んでおります。学会員の先生方の意見や要望を歓迎いたしますのでお申し出いただければと思います。今後ともJSSCRの活動へのご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
JSSCR歴代理事長
任期 | 理事長名 |
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2017年2月~ | 幸田 圭史 |
2008年2月~2017年2月 | 前田 耕太郎 |
2005年2月~2008年2月 | 穴澤 貞夫 |
2002年2月~2005年2月 | 田澤 賢次 |
1996年12月~2002年2月 | 安富 正幸 |
1984年発足~1996年6月 | 中里 博昭 |