日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会

社会保険委員会からのお知らせ

ストーマリハビリテーションにおける保険医療

 私たちの医療行為はどのように評価され保険点数に反映されているのか考えたことがあるでしょうか。平成24年度改正で人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算(K939-3 、当学会で言われている「ストーマサイトマーキング」です)が450点の点数をもらったことは皆さん驚かれたことと思います。当学会社会保険委員会、外科系保険連合会(外保連)、看護系学会等社会保険連合(看保連)などの活動が大きな力になってついた点数です。学会員が診療報酬について大いに関心を持ち、自分たちが行っている診療行為が診療報酬に反映できればとの思いで、ここに掲載します。

A.保険の成り立ち(療養担当規則P957、医師法・保健師看護師法)
 大正11年に健康保険法が施行されて以来、基本的には全国民が健康保険(社会保険・国民健康保)に加入し、指定保険医療機関に受診した場合には、一部負担金を除き、差額は診療報酬支払基金または国民健康保険組合より支払われる仕組みが確立した。しかし、この制度は、保険加入者と指定保険医療機関との契約に基づくルールに従った保険診療である。そのルールは大正11年制定の「健康保険法」及び、昭和57年制定の「高齢者の医療の確保に関する法律」の規定に基づいており、その算定方法(診療報酬)は「医科点数表の解釈」に掲載され、保険診療はこれに則って行われている。医療の進歩は目覚ましく新医療技術、医療制度改革については、法律に準じた厚生労働省保健局医療課長の官報告示などにより対応されている。
 保険医療機関に勤務する医療従事者(医師・看護師・薬剤師・療法士など)は診療報酬の仕組みを「医科点数表の解釈」で理解・活用してほしい。自分たちの医療行為に対し請求漏れがなく正当な対価を請求でき、自分たちの資格、貢献度を表せられるように期待します。
 今回の診療報酬は平成24年4月版「医科点数表の解釈」に基づいています。
 また、記事中にある1点は10円換算です。

B.ストーマリハビリテーション関連の医科点数
(ページ数は平成24年4月版「医科点数表の解釈」のページ)
1.医学管理料等 ( B )
●B001-13 在宅療養指導料 170点 (p236)
(1)入院中以外の患者で、器具(人工肛門、人工膀胱、気管カニューレ、尿道留置カテーテル、ドレーンなど)を装着しており、その管理に配慮を要する患者に対して指導を行った場合に、初回の指導を行った月にあっては月2回に限り、その他の月にあっては月1回に限り算定する。
(2)保健師または看護師が個別に30分以上療養上の指導を行った場合に算定できるものであり、同時に複数の患者に行った場合や指導の時間が30分未満の場合は算定できない。なお、指導は患者のプライバシーが配慮されている専用の場所で行うことが必要であり、患家において行った場合は算定できない。
(3)〜(5):省略
●B006-3 退院時リハビリテーション指導料 300点(p278)
注 患者の退院時に当該患者又はその家族等に対して,退院後の居宅における基本的動作能力若しくは応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るための訓練等について必要な指導を行った場合に算定する。
(1)入院していた患者の退院に際し,患者の病状,患家の家屋構造,介護力等を考慮しながら,患者又はその家族等退院後患者の看護に当たる者に対して,リハビリテーションの観点から退院後の療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定する。
(2)退院時リハビリテーション指導料は,指導を行った者及び指導を受けたものが患者又はその家族等であるかの如何を問わず,退院日に1回に限り算定する。
(3)当該患者の入院中主として医学的管理を行った医師又はリハビリテーションを担当した医師が,患者の退院に際し,指導を行った場合に算定する。なお,医師の指示を受けて,保険医療機関の理学療法士又は作業療法士が保健師,看護師,社会福祉士,精神保健福祉士とともに指導を行った場合にも算定できる。
(4)指導の内容は,患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換,起座又は離床訓練,起立訓練,食事訓練,排泄訓練,生活適応訓練,基本的対人関係訓練,家屋の適切な改造,患者の介助方法,患者の居住する地域において利用可能な在宅保健福祉サービスに関する情報提供等に関する指導とする。
(5)(6):省略

2.在宅医療( C )
●C-106 在宅自己導尿指導管理料 1,800点 (p342)
注1 在宅自己導尿を行っている入院中の患者以外の患者に対して,在宅自己導尿に関する指導管理を行った場合に算定する。
注2 カテーテルの費用は,所定点数に含まれるものとする。
◇在宅自己導尿指導管理料について
   (1)在宅自己導尿とは,諸種の原因により自然排尿が困難な患者について,在宅において患者自らが実施する排尿法をいう。
   (2)対象となる患者は,下記の患者のうち,残尿を伴う排尿困難を有する者であって在宅自己導尿を行うことが必要と医師が認めた者とする。
     ア 諸種の原因による神経因性膀胱
     イ 下部尿路通過障害(前立腺肥大症,前立腺癌,膀胱頸部硬化症,尿道狭窄等)
     ウ 腸管を利用した尿リザーバー造設術の術後
   (3)省略
●C163 間歇導尿用ディスポーザブルカテーテル加算 600点 (p356)
注 在宅自己導尿を行っている入院中の患者以外の患者に対して,間歇導尿用ディスポーザブルカテーテルを使用した場合に,第1款の所定点数に加算する

3.生体検査料 ( D )
●D215-2 超音波検査(記録に要する費用を含む。)
          断層撮影法  イ 胸腹部  530点  (p426)
区分番号D215及びD216に掲げる超音波検査等について,同一患者につき同一月において同一検査を2回以上実施した場合における2回目以降の当該検査の費用は,所定点数の100分の90に相当する点数により算定する。
●D216-2 残尿測定検査 (p428)
    超音波によるもの 55点
    導尿によるもの 45点
    注 残尿測定検査は,患者1人につき月2回に限り算定する。
    ◇(1)前立腺肥大症,神経因性膀胱又は過活動膀胱の患者に対し,超音波若しくはカテーテルを用いて残尿を測定した場合に算定する
     (2)「1」の超音波検査によるものと「2」の導尿によるものを同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。
●D233 直腸肛門機能検査(p435)
1.1項目行った場合800点
2.2項目以上行った場合1,200点
   注 直腸肛門機能検査は、患者1人につき月1回に限り算定する
   ◇(1) 直腸肛門機能検査とは、次のアからオに掲げる検査をいう
     ア 直腸肛門内圧測定
     イ 直腸感覚検査
     ウ 直腸コンプライアンス検査
     エ 直腸肛門反射検査
     オ 排出能力検査
    (2)直腸肛門機能検査は、ヒルシュスプルング病、鎖肛、肛門括約不全、直腸肛門由来の排便障害等の直腸肛門疾患に対して行う検査をいう。
    (3)直腸肛門機能検査は、直腸肛門内圧検査用バルーン、マイクロチップ、インフューズドオープンチップ又はマイクロバルーン等を用いて実施されるものである
●D242 尿水力学的検査 (p440)
1 膀胱内圧測定 260点
2 尿道圧測定図 260点
3 尿流測定   205点
4 括約筋筋電図 310点
◇排尿筋圧測定の目的で、膀胱内圧測定と併せて直腸内圧を測定した場合には、区分番号「D242」尿水力学的検査の「1」膀胱内圧測定と区分番号「D233」直腸肛門機能検査の「1」1項目行った場合の所定点数を併せて算定する。
また、内圧流量検査の目的で、区分番頭「D242」に掲げる検査を複数行った場合には、それぞれの所定点数を算定する

4.処置 ( J )(p573)
●J022 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸 65点 (p582)
   注 3歳未満の乳幼児の場合は,50点を加算する。
◇高位浣腸、高圧浣腸、洗腸、摘便、腰椎麻酔下直腸内異物除去又は腸内ガス排気処置(開腹手術後)を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数により算定する
●J022-2 摘便 100点 (p582)
●J43-3 ストーマ処置(1日につき) (p596)
 1 ストーマを1個もつ患者に対して行った場合     70点
 2 ストーマを2個以上もつ患者に対して行った場合   100点
◇(1)ストーマ処置は、消化器ストーマ又は尿路ストーマに対して行った場合に算定する。
 (2)ストーマ処置には、装具の交換の費用は含まれるが、装具の費用は含まない。
 (3)省略
●J043-5 尿路ストーマカテーテル交換法 100点(p597)
注 区分番号J000に掲げる創傷処置、区分番号K000に掲げる創傷処理、区分番号J043−3に掲げるストーマ処置(尿路ストーマに対して行ったものに限る。)の費用は所定点数に含まれるものとする。
  ◇尿路ストーマカテーテル交換法は、十分に安全管理に留意し、尿路ストーマカテーテル交換後の確認を画像診断等を用いて行った場合に限り算定する。
なお、その際行われる画像診断等の費用は、当該点数の算定日に限り、1回に限り算定する。
●J060 膀胱洗浄(1日につき)   60点(p603)
   注1 薬液注入、膀胱洗浄と同時に行う留置カテーテル設置及び留置カテーテル設置中の膀胱洗浄の費用は、所定点数に含まれるものとする
   注2 区分番号C106又はC109に掲げる在宅自己導尿指導管理料又は在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者に対して行った膀胱洗浄の費用は算定しない。
●J061 腎盂洗浄(片側) 60点 (p603)
 ◇(1)腎盂洗浄は片側ごとに所定点数をそれぞれ算定する。
  (2)尿管カテーテル挿入を行った場合は、所定点数に区分番号「D318」尿管カテーテル法 所定点数を合わせて算定できる。
●J063 留置カテーテル設置   40点 (p604)
注1 膀胱洗浄と同時に行う留置カテーテル設置の費用は、膀胱洗浄の所定点数に含まれるものとする。
注2省略
●J064 導尿(尿道拡張を要するもの) 40点(p604)
注 区分番号C106又はC109に掲げる在宅自己導尿指導管理料又は在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者に対して行った導尿の費用は算定しない。
●J065 間歇的導尿(1日につき) 150点(p604)
◇脊椎損傷の急性期の尿閉,骨盤内の手術後の尿閉の患者に対し,排尿障害の回復の見込みのある場合に行うもので,6月間を限度として算定する。

5.手術 (K)(p622〜)
●大腸肛門外科、泌尿器科手術料、併置手術 (p743〜p762)
●K939-3 人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算 450点 (p779)
   注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、手術の前に療養上の必要性を踏まえ、人工肛門又は人工膀胱を設置する位置を決めた場合に算定する。
   ◇人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算は、人工肛門等造設後の合併症等の予防のため、術前の画像診断や触診等により、腹直筋の位置を確認した上で、適切な造設部位に術前に印をつけるなどの処置を行うことをいい、人工肛門のケアに従事した経験を5年以上有する看護師等であって、人工肛門のケアにかかる適切な研修を終了したものが、手術を実施する医師とともに、術前に実施した場合に算定すること。
   施設基準
    第80の3 人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算 K939-3 (p1406)
     1 人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算に関する施設基準
     (1)人工肛門または人工膀胱造設に関する十分な経験を有する常勤の医師が配置されていること。
     (2)5年以上の急性期患者の看護に従事した経験を有し、急性期看護又は排泄ケア関連領域における適切な研修を修了した常勤の看護師が配置されていること。なお、ここでいう急性期看護又は排泄ケアなどに係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。
       ア 医療関係団体等が認定する教育施設において実施され、20時間以上を要し、当該団体より修了証が交付される研修であること。
       イ 急性期看護又は排泄ケア関連領域における専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
     2 届け出に関する事項 省略

事務連絡平成24 年3月30 日厚生労働省保険局医療課疑義解釈資料(その1)
(問171)K939−3人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算の看護師の要件にある「5年以上の急性期患者の看護に従事した経験を有し、急性期看護又は排泄ケア関連領域における適切な研修」とは、どのような研修か。
(答) 研修については以下の内容を満たすものであり、現時点では、日本看護協会認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」及び日本ストーマリハビリテーション学会の周手術期ストーマケア研修(20時間以上)の研修が該当する。なお、研修には、講義及び演習により、次の内容を含むものであること。
(イ)急性期看護又は排泄ケア関連領域に必要な看護理論および医療制度等の概要
(ロ)急性期看護又は排泄ケア関連領域に関するアセスメントと看護実践
(ハ) 急性期看護又は排泄ケア関連領域の患者及び家族の支援方法事務連絡平成24年8月9日厚生労働省保険局医療課疑義解釈資料(その8)
(問44)K939-3人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算に関する施設基準看護師(褥瘡管理者)との兼任は可能か
(答)兼任不可。ただし、A236褥瘡ハイリスク患者ケア加算における専従の看護師(褥瘡管理者)の要件に該当するものを複数配置し、常に褥瘡の早期発見及び重症化予防のための総合的な褥瘡管理対策を継続的に実施できる体制が確保されている場合であって、そのうちの1人が専従の褥瘡管理者として従事している場合には、それ以外のものについては、A236褥瘡ハイリスク患者ケア加算における専従の看護師(褥瘡管理者)の業務の支障がない範囲で、A236褥瘡ハイリスク患者ケア加算に係る業務と兼任することが可能である。
(問45)手術医療機器等加算については、平成24年3月30日付け「疑義解釈資料の送付について(その1)」の「問180」において、従たる手術の費用が算定できない場合には算定できない旨回答されているが、K939-3人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算の算定要件に「人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算は、人工肛門等造設後の合併症等の予防のため、術前の画像診断や触診等により、腹直筋の位置を確認した上で、適切な造設部位に術前に印をつけるなどの処置を行うこと」とあることから、算定要件を満たしていれば告示及び通知(手術通則14にて、同一術野、同一病巣にかかる手術として請求できない等)で人工肛門・人工膀胱造設術の請求ができない場合においても当該加算は請求できると解していいか。
答)人工肛門・人工膀胱造設の手術が算定できない場合にあっても、当該加算の算定はやむを得ない。

6.装具の保険上の取り扱い
健康保険で算定できる医療機器は、24時間以上体内へ設置した特定保険医療材料が原則であり、24時間以内に抜去した静脈内留置針や、尿道留置カテーテルは算定できない。よって、基本的にはストーマ装具は体外なので保険診療では算定不可能であるが、一部のレッグバッグに限り算定可となっている。基本的には身体障害者資格を取得したうえで、地方公共団体より装具実費の公費負担手続きが必要である。

装具の保険上の取り扱い
健康保険で算定できる医療機器は、24時間以上体内へ設置した特定保険医療材料が原則であり、24時間以内に抜去した静脈内留置針や、尿道留置カテーテルは算定できない。よって、基本的にはストーマ装具は体外なので保険診療では算定不可能であるが、一部のレッグバッグに限り算定可となっている。基本的には身体障害者資格を取得したうえで、地方公共団体より装具実費の公費負担手続きが必要である。

C 終わりに
 日常業務において、保険について疑問を感じたら、院内の医事課や保険診療に詳しい医師に尋ねてみましょう。もし疑問が解決しないときや、新たに保険収載してほしい事項がありましたら、本学会社会保険委員会にご連絡下さい。

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